獅子頭 <Shishigashira>
五段目の猪じゃごんせぬ
越路潟 くるりまわって しゃんと立つ
角兵衛獅子でも ないわいな
牡丹に唐獅子 鏡獅子
祝いの獅子は 太神楽
コリャ おかめ ひょっとこ 天狗の面
なんだかんだの 競いの獅子さ
えええ えええ しめろやれ
江戸一番の獅子頭
笹や節 <Sasayabushi>
笹や笹々 笹や笹
笹はいらぬか煤竹を
大高源吾は橋の上
明日またるる 宝船
饅頭笠に赤合羽
降り積む雪も いとわずに
赤垣源蔵は千鳥足
酒にまぎらす 暇乞い
胸に血を吐く南部坂
忠義に熱き大石も
心を鬼の暇乞い
寺坂つづけと 雪の中
湯島境内 <Yushimakeidai>
久しぶり
髷も似合ったふたり連れ
梅もほころぶ境内で
嬉しい思いもつかの間に
義理にせかれた切れ話 お蔦が涙
なくなくもくぐる鳥居の影暗く
月もおぼろの春の宵
三社祭 <Sanjamatsuri>
軒花に網を描いた提灯の
縁(えにし)も深い 宮戸川
三社祭に風かおる
町の名誇る半纏の
勢(きお)いを見せた宮出しや
一の宮から三の宮
荒れた神輿のその中に
幼馴染みのあの人の
腕にちらりと入黒子(いれぼくろ)
命と云う字が憎らしい
梅はさいたか <Ume ha saitaka>
梅は咲いたか 桜はまだかいな
柳ャなよなよ風次第
山吹や浮気で 色ばっかり
しょんがいな
浅蜊(あさり)とれたか
蛤(はまぐり)ャまだかいな
鮑(あわび)くよくよ片想い
さざえは悋気(りんき)で
角(つの)ばっかり
しょんがいな
柳橋から小船を急がせ
舟はゆらゆら波しだい
舟から上がって土手八丁
吉原へご案内
かっぽれ <Kappore>
かっぽれかっぽれ
(ヨーイトナ ヨイヨイ)
沖の暗いのに 白帆がサー見ゆる
(ソラヨイトコラサ)
あれは紀伊の国 ヤレコノコレワイノサ
(ヨイトサッサッサ)
みかん舟じゃえ
(あー みかん船)
みかん舟じゃサー見ゆる
(ソラヨイトコラサ)
あれは紀伊の国 ヤレコノコレワイノサ
(ヨイトサッサッサ)
みかん舟じゃえ
水たまり <Mizutamari>
夕立の過ぎて遠のく雷さんに
ほっと見交わす顔と顔
雲間がくれに あい傘を
かわってさした お月さま
晴れて逢う夜は 足元そぞろ
月踏み砕く 水たまり
薄雲太夫 <Usukumo-Tayu>
お江戸吉原 夜咲く花の
くらべ越しなる道中は
薄雲太夫の伊達好み
素見ぞめきのその中を
京町の猫通いけり
揚屋町
首に緋鹿の子 銀の鈴
やんれ 金の鈴